abstract: |
地球型惑星形成の制約条件として次の三つを考える: (1)地球と金星の狭い軌道間隔、
(2)地球と金星の小さい軌道離心率、(3)非常に若い月年齢。これら全ての条件を満たす
モデルは現在のところ存在しない。我々は、Morishima et al. (2010, Icarus 207, 517)
で、微惑星ディスクから惑星集積の最後までの直接計算行い、ガスの散逸時間や
木星型惑星の軌道など様々なパラメータに対する依存性を調べた。計算結果は木星の
軌道離心率に強く依存することが分かった。木星の離心率が大きい場合、永年共鳴の
影響で小惑星領域の天体が地球型惑星の領域にかき集められ、コンパクトなシステム
が形成されるが、集積が速く終わりすぎてしまう問題がある。一方、木星の
軌道離心率が小さい場合、集積がゆっくり進み、巨大衝突のタイミングは月形成年齢
と整合的であるが、2AU付近に地球サイズの惑星ができてしまう問題がある。つまり、
上の条件の(1)と(3)がトレードオフの状態にあり、両者を同時には満たせないことが
分かった。発表では以上のことを詳しく解説し、現在取り組み始めたことなども
紹介する。
|