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太陽系のほとんどの惑星には大気があり,それらの衛星にも大気を有するものがある.また,エウロパやタイタンには,水やメタンの海が存在する.これらの天体は太陽系の成り立ちや生命誕生の謎を探る科学者にとって,魅力的な研究対象となっている.現在,惑星探査機と言えば,軌道を周回するオービター,それに,地上に降り立つランダーや着陸点から自律走行するローバーが主体である.しかし,これらの手段では,数百−数千キロにおよぶ長距離にわたる調査や鉛直方向の観測を行うことはできない.そこで,これらの天体に存在する大気や海を利用した「飛行」(aerial)もしくは「航行」(Aquatic)型の探査機を考えることはごく自然な着想と言える.私たちは,惑星探査の可能範囲の拡大を目指す新しい工学分野として“Planetary Locomotion”すなわち「惑星に存在する大気や液体の中を自在に移動することのできる工学的手段とそのための動力」の研究に共同で取り組むことを提案している.本講演では,“Planetary Locomotion”が目指す目標とその達成のために解決しなければならない技術課題について考察する.
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