日時:2008年02月28日(木) 17:00-18:30
場所:自然科学研究科3号館5階 508号室

講演者: 
山本聡 (東大・新領域)

タイトル:
天体衝突現象と衝突クレーター形成実験


Abstract
太陽系固体天体の表面に存在する衝突クレーターの解析から、衝突 天体の情報( 微惑星、彗星、小惑星のサイズ分布や軌道進化 等)や惑星・衛星の地表面進化と表面に関連する内部進化を推定す ることができる。一方これらの研究を行う上では、クレーターの大 きさ・形状に対するスケーリング則が基礎方程式となる。従来の研 究では、衝突クレーター形成過程が複雑であることから形成過程を ブラックボックス的にとらえ、衝突実験で得られるデータを統計的 に解釈してスケーリング則の定式化がなされてきた。しかしこのよ うにして得られるスケーリング則には大きな不定性があることが知 られている。この不定性問題を解決するには、クレーター形成過程 のその場観測を行い、その結果に基づいた衝突素過程の物理的解釈 が重要となる。本研究では、シート状レーザー光を照射した粉体標 的に弾丸が打ち込まれる様子を高速ビデオカメラで撮影するによ り、クレーターが形成される様子のその場観測に成功した。本セミ ナーでは、この観測結果から得られるクレーター形成に関する新し い知見と、それに基づいたスケーリング則モデルについて紹介す る。また、この新しいモデルが与える衝突に関わる惑星科学的研究 への影響について議論を行う。