セミナーを以下の通り実施いたします。ぜひご参加ください。
講演者 : 古屋 玲(国立天文台ハワイ観測所)
日時 : 2006年03月30日(木)10:30- (1時間程度)
場所 : 自然科学3号館6階セミナー室 609号室
タイトル: 原始星(ファーストコア)の誕生後、数1000年を捉えた
概要 : 「分子雲コアの収縮はどのように始まるのだろうか?」この疑問に答えるためには、
原始星を産む母体の分子雲コアが分子流による破壊を受けていないような極めて若い
進化段階にある天体を同定する必要がある。この目的のため、我々は大規模なサーベイ
を行い、希有な進化段階にある低質量原始星を初めて同定することに成功した。この
原始星こそが、冒頭の疑問に答えるための格好の実験室と言えよう。我々はこの天体の
集中的な観測を行った。特に、電波干渉計の弱点である、空間的フィルター効果を克服
するような解析を行い、データの空間的スケールのダイナミックレンジを0.1 pcから
0.01 pcの範囲に広げたことが、コアの密度及び速度構造の詳細な解析を導いた。この
結果、我々の観測天体は、重力的に不安定な状態から収縮を始めた、数千年にも満たない
極めて若い段階にあることがわかった。即ち、30余年に渡って論争が続いてきた、2つの
進化モデルのうち一方が与える星形成の初期条件を強く支持することを意味する。